隣の席の佐竹くんには…
そんな複雑な感情を抱いている中、なにかを思い出したかのように佐竹君が顔を上げたのが視界に入った。

「そういえば、梅沢さんの最近まで好きだった人って、ヴィジュアル系の人なの?」

「え?ヴィジュアル系?最近まで好きだった人…って?」

私は佐竹君しか好きになったことないけど。

「リョウガ君が言ってたよ。ねぇちゃんの好きな人、ヴィジュアル系だって」

「えぇー…?」

首を傾げながら、少しの間、記憶を辿る。

(……ーあ。たぶん、あの時のことだ)

思い当たる節に辿り着いた途端、気恥ずかしくなって、今度は私が俯く。

「えっと…それは、佐竹君のこと…です」

「え、オレ?」

「リョウガに好きな人のヒント教えてってしつこく聞かれた時に“目元が隠れてる人”って教えたから。それをヴィジュアル系だって、リョウガが勝手に想像膨らませて言ってるだけ」

「……え。目元……えっ!?梅沢さん…その時からオレのこと好きでいてくれたの?」

驚いた様子の佐竹君に、恥ずかしさをまといながらコクンと頷く。

「それに、私…好きになったのって、佐竹君が初めてだから…」

うわー。
恥ずかしいことじゃないのに、恥ずかしい!

見開いた目を向けたまま動かない佐竹君は、驚いているのか嬉しいのか、とにかくこの雰囲気を噛みしめているような表情をしている。
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