今日の恋、予報します。
 「……お邪魔します」


 みつはるの家。


 玄関に入った瞬間から、心臓が落ち着かない。


 「適当に座ってて」


 「う、うん」


 リビングに案内される。


 ……どうしよう。


 好きな人の家。


 今、私。


 天野光晴の家にいる。


 「…………」


 「晴山?」


 「は、はい!」


 「顔赤くない?」


 「赤くない!」


 「そう?」


 絶対、赤い。


 雨に濡れた服が肌に張りついて、少し寒い。


 それに気づいたみつはるが、


 「風邪ひくよ。お風呂使っていいよ」


 「えっ!?」


 「着替えも貸す」


 「いやいやいや!?」


 「濡れたままの方が困るでしょ」


 「……それは、そうだけど」


 結局、借りることになった。


 そして。


 「これ、着て」


 渡された服。


 「……これ、みつはるの?」


 「うん」


 「…………」


 無理。


 いや、待って。


 落ち着いて。


 ただの服。


 ただ借りるだけ。


 なのに。


 お風呂から上がって、それを着て鏡を見る。


 「…………」


 ぶかぶか。


 袖が余っている。


 丈も少し長い。


 なんというか、その。


 ……彼シャツみたい。


 「…………っ」


 顔が熱くなる。


 「いやいやいやいや!」


 私は鏡の前で首を振った。


 「違うから!」


 ただの服。


 ただの服だから!


 そう言い聞かせていると。


 「晴山ー?」


 外からみつはるの声。


 「……っ!」


 「大丈夫?」


 「だ、大丈夫!」


 「じゃあ出ておいで」


 「…………」


 無理。


 こんな格好で?


 でも、出ないわけにもいかない。


 恐る恐るドアを開ける。


 「……」


 みつはるがこちらを見る。


 そして。


 一瞬、止まった。


 「…………」


 「…………」


 なに、なんで黙るの。


 「……変?」


 「いや」


 みつはるが目を逸らす。


 「……かわいい」


 「…………っ」


 「なんか……新鮮」


 「やめて!」


 私は慌てて袖を引っ張る。


 「そういうこと言わないで!」


 「なんで?」


 「なんでも!」


 心臓がうるさい。


 今日一日だけで何回ドキドキさせられれば気が済むの。


 みつはるはそんな私を見て、楽しそうに笑った。


 「暇だし、ゲームでもする?」


 「……うん、する」


 ソファに並んで座る。


 窓の外では、まだ雨がしとしとと降り続いていた。
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