儚く散った初恋は十二年の時を経て芽吹く 〜犬猿の仲だった御曹司と再会したら溺愛されました〜
プロローグ
「結月、好きです。俺は……ずっと君のことが好きで好きでたまらなくて……こうして話せるだけで幸せなのに、どうしても結月の心が欲しくなってしまったんです」
とても真剣な表情で、こちらにゆっくりと近づいてくる碓氷拓真に、日向結月はどうしたらいいか分からず後退った。
「あの、私……」
「馬鹿なことを言っているのは分かっています。結月は俺のことを好きにならなくてもいいから、永遠に結月の側にいることだけは許してください」
「永遠って……」
拓真は再会してからずっとこうだ。
子どものときに結月にしたことへの償いのために、結月に一生を捧げようとする。
確かに彼は……小学生のときに結月の想いを踏み躙った。たくさん泣かされて、心も傷だらけになって……初恋は露と消え、結月は拓真を大嫌いになった。
けれど、所詮子ども時代の諍いだ。それを本気で償おうとし、どんなときも結月に尽くす拓真に、結月の心は大きく揺れている。彼の真摯すぎる表情に、なぜか胸が高鳴ってしまうのだ。
(私、どうしちゃったの?)
消えたはずの淡い恋心が帰ってきたのだろうか。
結月が眉間に皺を寄せると、拓真は結月の手をそっと握った。彼の一挙一動を凝視しながら、結月は口をへの字にして彼を見る。
「償いのために人生を懸けるなんて、本当に馬鹿だわ。それに重い……」
「すみません。でも償いだけじゃない。結月を好きだから、ずっと君の側にいたいんです。なんと言われようと、これだけは譲れません」
(何それ……)
柔らかな笑みを崩さない拓真に、結月は動揺を隠せなかった。彼が、硬直している結月にまるで宝物のように触れるから、結月の顔に一層熱がともっていく。
「そんなに困った顔をしないでください」
「う、うるさいわね。誰のせいだと思って……」
真っ赤に染まった顔で拓真を睨むと、彼がフッと笑う。そして結月の腰を抱いて顔を近づけた。
「ええ。だから責任取ります。一生償うから……」
「一生とか永遠とか……さっきから何なの。そんな不確かなものを約束しないで」
「いいえ、確定された未来です」
「は?」
「俺はもう誰になんと言われようと、二度と君の側を離れない。重いと言われようが、うざがられようが、己の心を曲げないと決めたんです。だから結月は俺のことを都合よく使ってください」
(そんなことできるわけないじゃない……)
拓真はもう分かっているのだ。結月が彼を許していることを……。拒絶されないと分かってやっている拓真に、結月は眉尻を下げた。
「ずるい。拓真くんはずるいわ」
「そうですね、俺はずるい。でも結月のためなら何でもするから許してください」
結月が拓真の胸を叩いてそう言うと、彼はいとも簡単に認めた。
抗議している結月の両手を掴む彼に、結月がおずおずと拓真の顔を見ると、彼は優しげな微笑を浮かべていた。なのに、獲物を見る獣のような目付きがこちらを照準している。
「結月」
名を呼び緩慢に、拓真の顔が近づいてくる。結月が反射的に目を閉じてしまうと、互いの唇が重なりあった。それは触れるだけの軽いものだったが、確かに彼の体温を感じた。
「……っ」
全身の血液がカァッと熱くなる。そう感じた瞬間、もう止まれなかった。気がついたら夢中で拓真のキスを受けていた。
(ああ、私の心はきっと……)
再会したあの日から、拓真に捕まっていたのだ――
とても真剣な表情で、こちらにゆっくりと近づいてくる碓氷拓真に、日向結月はどうしたらいいか分からず後退った。
「あの、私……」
「馬鹿なことを言っているのは分かっています。結月は俺のことを好きにならなくてもいいから、永遠に結月の側にいることだけは許してください」
「永遠って……」
拓真は再会してからずっとこうだ。
子どものときに結月にしたことへの償いのために、結月に一生を捧げようとする。
確かに彼は……小学生のときに結月の想いを踏み躙った。たくさん泣かされて、心も傷だらけになって……初恋は露と消え、結月は拓真を大嫌いになった。
けれど、所詮子ども時代の諍いだ。それを本気で償おうとし、どんなときも結月に尽くす拓真に、結月の心は大きく揺れている。彼の真摯すぎる表情に、なぜか胸が高鳴ってしまうのだ。
(私、どうしちゃったの?)
消えたはずの淡い恋心が帰ってきたのだろうか。
結月が眉間に皺を寄せると、拓真は結月の手をそっと握った。彼の一挙一動を凝視しながら、結月は口をへの字にして彼を見る。
「償いのために人生を懸けるなんて、本当に馬鹿だわ。それに重い……」
「すみません。でも償いだけじゃない。結月を好きだから、ずっと君の側にいたいんです。なんと言われようと、これだけは譲れません」
(何それ……)
柔らかな笑みを崩さない拓真に、結月は動揺を隠せなかった。彼が、硬直している結月にまるで宝物のように触れるから、結月の顔に一層熱がともっていく。
「そんなに困った顔をしないでください」
「う、うるさいわね。誰のせいだと思って……」
真っ赤に染まった顔で拓真を睨むと、彼がフッと笑う。そして結月の腰を抱いて顔を近づけた。
「ええ。だから責任取ります。一生償うから……」
「一生とか永遠とか……さっきから何なの。そんな不確かなものを約束しないで」
「いいえ、確定された未来です」
「は?」
「俺はもう誰になんと言われようと、二度と君の側を離れない。重いと言われようが、うざがられようが、己の心を曲げないと決めたんです。だから結月は俺のことを都合よく使ってください」
(そんなことできるわけないじゃない……)
拓真はもう分かっているのだ。結月が彼を許していることを……。拒絶されないと分かってやっている拓真に、結月は眉尻を下げた。
「ずるい。拓真くんはずるいわ」
「そうですね、俺はずるい。でも結月のためなら何でもするから許してください」
結月が拓真の胸を叩いてそう言うと、彼はいとも簡単に認めた。
抗議している結月の両手を掴む彼に、結月がおずおずと拓真の顔を見ると、彼は優しげな微笑を浮かべていた。なのに、獲物を見る獣のような目付きがこちらを照準している。
「結月」
名を呼び緩慢に、拓真の顔が近づいてくる。結月が反射的に目を閉じてしまうと、互いの唇が重なりあった。それは触れるだけの軽いものだったが、確かに彼の体温を感じた。
「……っ」
全身の血液がカァッと熱くなる。そう感じた瞬間、もう止まれなかった。気がついたら夢中で拓真のキスを受けていた。
(ああ、私の心はきっと……)
再会したあの日から、拓真に捕まっていたのだ――