儚く散った初恋は十二年の時を経て芽吹く 〜犬猿の仲だった御曹司と再会したら溺愛されました〜
十二年前の出来事
──パアァァン!
ツリーやリースで飾りつけられ、皆の楽しむ声が響くクリスマス会で、結月は目の前にいる幼なじみ――拓真の横っ面を思いきり引っ叩いた。
打った手のひらも痛いが、それ以上に胸が痛い。勝手にポロポロとこぼれる涙が、視界を歪ませた。
「あんたなんて大嫌い! 早くここから出ていってよ!」
「ごめん! そんなつもりじゃなかったんだ……。俺、結月に……」
泣きながら怒る結月に、拓真が狼狽する。今さら慌てたって遅いというのに、この男は何を考えているのか。
今日は終業式を待たずして転校しなければならなくなった結月との別れを惜しんで、親友の兎谷由香里が少し早めのクリスマス会を開いてくれた日だった。
クラスの皆も来てくれて、すごく楽しくて、でもめちゃくちゃ寂しくて……結月はこの時間が何より宝物のように感じた。が、親友からのプレゼントを胸にかかえて結月が涙ぐんだとき、突然招いていない拓真が現れたのだ。
昔は仲のいい幼なじみだったが、今や修復が難しいほどに二人の関係は悪くなっていた。つい先日絶交を言い渡したから、もう関わることはないと安心していたのに……。
「結月、今までごめん。俺、誤解があるままお前と離れたくないんだ。だから……」
「誤解って何よ。ずっと私に嫌がらせばかりしてきたくせに。今回だって、最後に泣かせてやろうと思ってきたんでしょ! だから、こんなひどいことができたんだわ!」
足もとで無残にひしゃげた親友からのプレゼントの箱を拾い上げ、結月は胸元でぎゅっと抱きしめた。
これは由香里が遠くに行く結月のために一生懸命選んでくれたものだ。それを拓真は……。
結月は、自分のみならず由香里の思いまでも踏み躙られた気持ちになり、すごく悔しくなった。拓真をキッと睨みつける。
「そんなつもりじゃなかったんだ。でも結月が俺の手を振り払ったから……。俺だってお前に最後にプレゼントをあげたかったのに」
「そんなものいらないわよ! 何が入っているか分からないもの」
拓真は入ってくるなり、気まずそうに小さな包みを渡してきた。過去におもちゃの虫が入ったものを渡された前科があるだけに、どうせ今回も同じ嫌がらせをしにきたに決まっていると、激しく突っぱねたのだ。が、それがいけなかったのだろう。
最初は困り顔で結月の機嫌を取ろうとしていた拓真も、あまりに結月が意固地なものだから、我慢できなくなり結月の手にあったプレゼントを奪い取った。そして、それを力一杯床に投げつけたのだ。
「結月はこのままでいいって言うのか? 謝ってるのに、どうして話を聞いてくれないんだっ!」
「ええ、このままでいいわ。私はあんたを絶対に許さないから」
顔を青くして結月の二の腕を掴む拓真の胸を力いっぱい押しのける。途端、結月の足もとが音もなく崩れ落ちた。
ツリーやリースで飾りつけられ、皆の楽しむ声が響くクリスマス会で、結月は目の前にいる幼なじみ――拓真の横っ面を思いきり引っ叩いた。
打った手のひらも痛いが、それ以上に胸が痛い。勝手にポロポロとこぼれる涙が、視界を歪ませた。
「あんたなんて大嫌い! 早くここから出ていってよ!」
「ごめん! そんなつもりじゃなかったんだ……。俺、結月に……」
泣きながら怒る結月に、拓真が狼狽する。今さら慌てたって遅いというのに、この男は何を考えているのか。
今日は終業式を待たずして転校しなければならなくなった結月との別れを惜しんで、親友の兎谷由香里が少し早めのクリスマス会を開いてくれた日だった。
クラスの皆も来てくれて、すごく楽しくて、でもめちゃくちゃ寂しくて……結月はこの時間が何より宝物のように感じた。が、親友からのプレゼントを胸にかかえて結月が涙ぐんだとき、突然招いていない拓真が現れたのだ。
昔は仲のいい幼なじみだったが、今や修復が難しいほどに二人の関係は悪くなっていた。つい先日絶交を言い渡したから、もう関わることはないと安心していたのに……。
「結月、今までごめん。俺、誤解があるままお前と離れたくないんだ。だから……」
「誤解って何よ。ずっと私に嫌がらせばかりしてきたくせに。今回だって、最後に泣かせてやろうと思ってきたんでしょ! だから、こんなひどいことができたんだわ!」
足もとで無残にひしゃげた親友からのプレゼントの箱を拾い上げ、結月は胸元でぎゅっと抱きしめた。
これは由香里が遠くに行く結月のために一生懸命選んでくれたものだ。それを拓真は……。
結月は、自分のみならず由香里の思いまでも踏み躙られた気持ちになり、すごく悔しくなった。拓真をキッと睨みつける。
「そんなつもりじゃなかったんだ。でも結月が俺の手を振り払ったから……。俺だってお前に最後にプレゼントをあげたかったのに」
「そんなものいらないわよ! 何が入っているか分からないもの」
拓真は入ってくるなり、気まずそうに小さな包みを渡してきた。過去におもちゃの虫が入ったものを渡された前科があるだけに、どうせ今回も同じ嫌がらせをしにきたに決まっていると、激しく突っぱねたのだ。が、それがいけなかったのだろう。
最初は困り顔で結月の機嫌を取ろうとしていた拓真も、あまりに結月が意固地なものだから、我慢できなくなり結月の手にあったプレゼントを奪い取った。そして、それを力一杯床に投げつけたのだ。
「結月はこのままでいいって言うのか? 謝ってるのに、どうして話を聞いてくれないんだっ!」
「ええ、このままでいいわ。私はあんたを絶対に許さないから」
顔を青くして結月の二の腕を掴む拓真の胸を力いっぱい押しのける。途端、結月の足もとが音もなく崩れ落ちた。