僕らのノイズ ※最後の願いは、よく考えたうえで送信してください。

「このパンフレット、持って行く? ネットでもあとから見れるけれど。リンク、タブレットの個人チャットで共有しておこうか?」

 少しお節介に感じる。でも、私は、そのお節介に今はただ、甘えたくなっていた。

「個人チャットに共有してほしいです。紙だとなくしそうだし」

 自信なさげな声で、小さく呟いた。神田先生は私のその声を、そっと大切に拾い上げてくれた。

 その後、体育館を出るときに地面をなんとなく見たら、体育館の外壁に沿うようにして、一輪の花がまっすぐ咲いていた。
 私はしゃがんで、太陽に向かって優しく強く咲いている、その花を見つめた。

 ――シオン。

 小学生の頃、理科の授業の調べ学習、図書館で読んでいた植物図鑑のページに書かれていた花の名前を思い出した。
 確か、花言葉は、

「あなたを、忘れない……」

 気づけば、私の口はそう呟いていた。目の奥から鼻先にかけて、じんと熱くなる。誰かに抱きしめられたように、背中が温かくなる。両腕をクロスさせて、涙が出てこないようにじっと耐えた。
 ……この花を誕生花とする日付は、確か、九月、二十日。

 あなたを、忘れない――。
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