僕らのノイズ ※最後の願いは、よく考えたうえで送信してください。
「今の私が出した、≪ ≫です」
自分の声が聞こえなかった。
私は、何を伝えたかったんだろう。
最後の願いを、願いではなく、宣言としたかったような気もする。
「未来の私が、今の私を見たときにどう思うか、どんな答えを出すのか、今出した答えをどう書き換えてしまうのか、全く想像できません」
声が震える。私は顔が俯きそうになったから、その衝動を堪えるように奥歯を噛みしめ、観客席をまっすぐ見つめた。
「だから、私はいつか死んでしまうその瞬間に『私になれて良かった』って思えるように、私を愛して、自由に生きていきたい」
作りもの、あるいは、誰かから借りた正解、答えじゃなくて。
「自由って、正解を何回でも、どんな風にでも書き換えられる、魔法みたいなものだと思います。
そして、生きていくことは、きっと――自由に書き換えていく" 自分にとって "の正解を、何度も作り直していくということ。
そのことを、たとえ、いつか忘れてしまっても思い出したタイミングが、思い出す必要がある時なんだということ。
今はこれを結びとし、一度筆を置きたいと思います。
最後にはなりますが、今後、芝原学院高等学校合唱部をはじめ、関わってくださる皆様全員に対し、益々のご多幸、ご健勝をお祈り申し上げます。
本日は、本当に、本当に、ありがとうございました」
そう締めくくり、マイクから一歩下がって、一礼した。