軍医と傷読みの花嫁 ~閉じこもり薬師は、傷もちの旦那様に愛される〜
ガラランッ……地面に兄の水筒が転がった。口からこぼれた水が土を濡らしていく。
(兄様……⁈ ──あぁ……)
これが──兄が最後に焼き付けた光景。
凪は全身に衝撃を受けたように、しばらく動くことができなかった。
転がった水筒を震える手で拾い上げ、胸の奥へと強く抱き寄せる。
「兄様……誰も……誰も安藤軍医を恨んでなんていなかったのね……」
唇の震えが止まらない。
溢れる涙をこらえながら、兄の温かな思いを胸いっぱいに噛み締めた。
「……将臣様はこれで……苦しみから解放される……っ!」