めじるしチャームの怪

「泣かないよぉ!」
「ね、泣かないよねぇ」
どうやら今日はずっとご機嫌で過ごしていてくれたみたいだ。
ホッと胸を撫でおろして帰りの支度を始める近所の人に挨拶をする。
「今日もありがとうございました」
「いいのよ、私は子育ても仕事も引退して暇なんだから。あ、明日は田中さんとこの奥さんが来てくれることになったからね」
「いつも、すみません」
丁寧に頭を下げて冷蔵庫から野菜を取り出して袋につめる。
「これ、少しですけれどお礼に」
「そんなことする必要ないのよ。うちは大丈夫だから、みんなで食べなさい」
差し出した袋は受け取らずに玄関から出るまで、その人はずっと優しい笑顔を浮かべていた。
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