リーガル・ラブ〜イケメン弁護士はお堅い彼女のハートを盗みたい〜
新しい入居者
ゴールデンウィークに入ると入居者のほとんどが旅行に出かけ、マンションは急にガランと静かになった。

「ふう、やれやれ。怒涛の日々もようやく落ち着いたね」

メインロビーのカウンターで、隣に並ぶ夏希がホッとしたように言う。

「うん、なんとか山場は超えられたかな。各ポジションもひと通り回って業務したし、あとは慣れていけば」

そんなことを話していると、バックヤードから篠原がやって来た。

「戸倉さん、ちょっといい?」
「はい、何でしょう」

優香は浅く腰掛けていたハイチェアから離れて篠原に歩み寄る。

「実はこれから最後の入居者の方が引越して来られる。サウスタワーなんだけど、そっちのロビーに行って対応お願いできるか?」
「かしこまりました。まだ入居されていない方がいらしたんですね」
「ああ。お仕事の関係でなかなか都合がつかなかったらしい。しかも今日も急に仕事が入ったから、代わりにコンシェルジュが引越し作業に立ち会ってほしいとのことだ。お名前は古賀(こが)壮志(そうし)様で、サウスタワーの2501号室。これが室内立ち入り承諾書で古賀様の電子サインもいただいている」

優香は書類を受け取って目を通す。
コンシェルジュが合鍵で自分の部屋に入ることの許可と、家具などの破損を見つけた場合もコンシェルジュに賠償を求めないことなどが記されていた。

「承知しました、すぐにサウスタワーに向かいますね」
「ああ。もうじき引越し業者も到着すると思う。古賀様は12時頃こちらにいらっしゃる予定だから、お出迎えとオリエンテーションも頼む」

優香は腕時計に目を落とす。
ちょうど10時になろうとするところで、2時間後なら引っ越し作業が終わる頃かもしれない。

「わかりました。古賀様のご都合がよければ、そのまま施設をご案内しますね」

優香はカウンターのデスクから書類やパンフレットを取り出し、夏希に「行ってくるね」と声をかけてからロビーを出た。
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