隣の席の泉宮くん(過去形)


「……入夏さん。」

現代文の授業中、小声で呼び掛けられた。

「教科書、忘れちゃった。見せてもらっても良い?」

隣の席の泉宮くんから、そう言われた。

「あっ、うん。良いよ。」

「ごめんね、ありがとう。」

席を動かして、距離が近付いた。


「泉宮?どうした?」

担当教科の先生が聞いた。

私と泉宮くんは、窓際の列の一番後ろの席同士。


「教科書忘れたので見せてもらいます。」

泉宮くんなら、違うクラスに今日現代文の授業があって、教科書、貸してくれない?と、一言言えば貸してくれる人がいっぱいいるんだろうな……。


泉宮くんとの距離が近付き、腕を動かせば当たりそう。

体の右半身に意識が持ってかれて、授業に全く集中出来なかった。

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