銀河の雫
「月浦さん、営業さんが呼んでるよ」
同期の一人が面談を終えて、戻って来たのだった。
「契約更新どうだった?」
「形式的な感じだったから五分で終わったよ」
「普通に三か月更新?」
「うん、今回も三か月更新だった。それと来月から時給百円アップだって」
「……百円も!?」
残業代も含めて一か月一万五千円。
一年でざっと十八万。
年収が上がれば、息子の大也の学費に使える。
NISAの積み立ても増やせるし、推し活で東京や大阪へ遠征もできるな。
それでも残ったら……
たった百円、されど百円だ。
「……ありがとね、じゃあ、面談行ってくるよ」
オフィスの廊下へ出た。
そうか……
それなら私だって、契約打ち切りは、さすがにないだろう。
だって、頑張って仕事を覚えてきたんだし。
――コンコン、コン
緊張で震え出しそうな手で、小会議室のドアを叩いた。
思い切りノックをしたはずだった。
なのに、握りこぶしはドアにぶつかると、かすれた金属音を立てた。