銀河の雫
コンプラは私を守ってはくれない。
社員さんもこの人たちも、ハラスメントだと騒がれないために、優しく親身な振りをしているだけ。
いつも感じていた違和感の正体はこれか。
「……質問が多いのは、月浦さんの習熟度が低いからだと社員さんはおっしゃっています」
「ですから、月浦さんの場合、三か月ではなく、一か月間更新での契約になります」
更新はしてあげるけど、他の人とは明らかな差をつけるってことね。
こういうとき、下手に本音をぶちまけても、庇ってもらえないどころか、余計に悪者扱いされるだけだ。
私の代わりは、いくらでもいるってことか。
私は代わる代わる、営業担当の顔を見た。
「……分かりました。来月の契約満了で終了でお願いします」
「……いいんですか、それで」
二人の表情から作り笑いが消えた。
「はい……長い目で見ても私には向いていない気がします」
「でも、そんなにすぐに答えを出していいんですか」
四十代を目前にした私に、考える猶予なんて必要ない。
……そうだ。
ここを乗り越えればなんとかなると、ごまかしながら、現実に向き合わずに来た結果がこれだ。
きっと、社員さんは、それを見抜いていただけだったんだ。
「……感情的になって決めたことではありません。前から考えていました」
「そうですか。まぁ自分自身が何に向いているか、月浦さんご自身が一番よく理解してると思いますから」
二人は残念だという素振りを見せた。
その無意味な気遣いが、重く、心苦しく伝わってくる。
これは、自分自身が招いた結果なのだ。
この戦い、完全に私の負けだった。