アイドル・プロデュース!
「もう夜っ…!
早く戻らないとっ…!」

忘れ物を取りに行って、少し考え事をしちゃっていたかと思うと、あっという間に辺り一面真っ暗闇だった。

今何時だろ…

スマホを何気なく開いた時に、私の目に入ってきたのは異常な数の着信履歴とメール

〘 不在着信 102 件 〙

〘 未読メール 420 件〙

それは全てお兄ちゃんからだった。

こ、これは本当に怒られるっ…!

怒られる事を恐怖しながら、私は急ぎ足で家へと戻った。

ガチャ

「…た、ただいま〜…。」

扉をゆっくり開けると、お兄ちゃんが玄関で仁王立ちで待っていた。

「遅い」

「ゔっ…」

「何をしてた」

「事務所に…行ってました…。」

「なっ…
また活動するつもりか!?」

「違うっ違うっ…!
ただ忘れ物を取りに行ってたのっ…!
ほらっ…!」

お兄ちゃんに取りに行って言った忘れ物(=手帳)を見せる

「…そういえば、なくしたとか言ってたな。」

考え込むようにして「嘘はついてないな?」と確認される

「もちろんっ…!」

「ならいいさ。
ほら、ご飯できてるから食べな?」

「…うんっありがとう…!」

プロデューサーの件は、言わなくていいよね。

お断りしたし…

「荷物置いてくるねっ」

「あぁ」

そしてお兄ちゃんと2人で食卓を囲み、洗い物を片付けると私は部屋に戻った

…あれ、響さんから連絡…

メール画面を開くと、1つの動画のURLが送られてきていた

?

なんだろう…?

ピッ

〜♪

「…!」

開いた動画は、" 彼ら "のダンス動画だった。

練習着のようなラフな格好からして、響さんが練習中に内緒で撮ったんだろうな…と容易に想像ができた。

…にしても

彼らのチームワーク自体はまだまだだ。

響さんによると、3次審査のグループ課題で彼らが同じグループになったらしいが、チームワークの点は0点だったらしい。

ダンスにも、個性が出過ぎている

赤髪の人…確か、陽くんかな。

ダンスの表現はいい。でも、隣の凌くんを意識し過ぎて空回りしてる。

凌くんはダンスの技術はこの中でもトップだ。

でもそのダンスに集中していて周りを見ていない。浮き彫りになっている

奏多くんは愛嬌が特徴なのだろう。

少しミスもしているが、それを覆い隠そうとしてるのが見て分かる。

司くんはダンスは完璧だ。

でも少し周りを意識しすぎて控えめになっているのが分かる

千秋くんのダンスは" 美しさ "で作られているようなダンス。

洗礼されているけれど、他の4人と比べて熱量がない。

それがダンスに現れている。

でも、

彼らはきっと、大きくなる。

これまで、沢山の芸能人を見てきた

売れる売れない、という目も普通の人と比べたら、冴えているとは思う。

あの時、直接会ってわかった。

彼らはきっと、伝説を塗り替える

これまでのアイドル・アーティストの歴史もを巻き込んで。

そんな想いを抱いて、少しだけ。ほんの少しだけ…

──見てみたいと、思ってしまった。

『断言しよう。君はきっと戻ってくるよ。
他でもない、君自身で。』

…社長って、やっぱり目敏いなぁ…。

社長の思い通りになってしまった事に不満を抱きつつも、私は心のどこかで

─嬉しく思っていた。
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