碧くんの好きが溢れてる② 〜あなたの好きで溺れそうなんですけど〜
 私は恥ずかしさのあまり、顔が真っ赤になっているのが分かった。碧くんの首に腕を回して、ぎゅっと抱きしめて、真っ赤になっている顔を隠した。

碧くんも背中に腕を回して、ぎゅっとしてくれた。でも少し沈んだ雰囲気が伝わってきた。

「ずっとこうしていたいけど、帰らないとな」
「うん、遅くなるとママが心配するね」
「そうだね。行こう」

2人はゆっくり立ち上がった。そして手を繋いで駅に向かった。手は離れないように恋人繋ぎをしていた。

繋いた手が、こんなにも幸せだと思うのが不思議な気持ちだ。ただ手を繋いでいるだけなのに。
 
 電車の中でも碧くんは、ずっと沈んでいる気がした。
近くに向かい合って立っているのに、遠くに感じてしまう。

あの時、私が西南学園の男子に連れ去られようとして、怖くて泣いたからかも。

そんな心配そうな顔していると、心が痛むよ。
碧くんの腰に両腕を回して抱きしめた。見上げると笑いかけてくれる。碧くんも抱きしめて後頭部を撫でてくれた。

下車して家に帰るまで、手を繋いでいた。碧くんと繋ぐ手を離したくなかった。家の前まで帰ってきても手をずっと繋いでいたかったのに。

でも遅くなるから、仕方なく手を離した。私は笑顔で碧くんを見た。

「碧くん、また明日」
「うん、明日迎えに来る。学校に一緒に行こう」
「うん、待ってる」
「家に入って。家に入るのを見届けてから帰る」
「うん、分かった」

何度も振り返って、玄関の鍵をあけ扉を開いた。中に入っても隙間から顔を出して碧くんを見た。手を振ると振り返してくれる。そして扉を閉めた。

家の中では鍵を閉めて、急いで2階の自分の部屋に上がった。2階の窓から玄関の外が見えるからだ。

碧くんを見たくて急いだ。窓から外を見ると碧くんは暫く立っていた。

窓を開けようとしたら、碧くんは背中を向けて帰る姿が見えた。声をかけそびれた。残念。

後ろ姿が見えなくなるまで見届けたけど、離れたばかりなのに、すぐに会いたくなる。明日会えるのに待ち遠しい。明日がこんなに遠くに感じたのは初めてだ。
< 2 / 7 >

この作品をシェア

pagetop