愛してるって裏切った、君の嘘。

そっけない君。

授業が、終わった。

私はまた机に突っ伏して、クラスメイトが全員帰るのを待った。


そういえば、悠は、最近なんだかおかしい。

いつもぼーっと窓の外の景色を眺めては消しゴムでノートに何か書いて、消す。

その繰り返しを、授業中ずっと。

優等生なのに……。悠には、何か悩みがあるんじゃないのだろうか。


って言っても、そもそも私には手に負えない事情だとしたら。



「じゃあまたねせんせっ!」

「さようなら、気をつけて帰って」


「えっ、もう愛芽ちゃん、Mimi Rêveの新作のフレンチガーリーリボンスマホケース持ってるの⁉︎どこで入手した?」

「あ、Mimi Rêveのスマホケースのことね。うーんと……ね、池袋に行って買ったよー」


何気ない会話が私の耳に入っては出ていく。

悠のことしか、私は頭にない。


今、悠は何してるのかな。何を考えてるのかな。

電話、かけようかな、せっかく繋がってるんだもん。

一度は諦めかけていた電話を、私はかけてみることにした。


──ピロピロリ〜ン。


ドキドキ、心臓の鼓動が鳴り止まない。

果たして出てくれるだろうか──。


『もしもし?どうした、弓月?』

えっ。

出て、くれた……っ!

言いようのない喜びが込み上げてきて、私の胸は嬉しさではち切れそうだった。


「え、とね。話したい、ことがあって」

どうしても緊張してしまう。

……私は、悠に何を話したいんだろう。


「あのね」

『うん』

「その、ね。……悠、最近ちょっと疲れてない?」

勇気を出して問いかけてみた。

でも、多分、悠は、何もないよ、疲れてないし、って、呆れた顔で言うと思う。

想像はついていた。

『何もないよ、疲れてないし』

「そっか……。じゃあね」

『じゃあな』


──プチッ。

電話はあっけなく切られてしまった。

結局、何にも話せなかった。

喪失感が、私の身体の中を巡っていた。


ううん。

もう良いんだ、悠のことは。


私は悠のただの幼なじみだし、悠の人生には関係ないよ。

そう自分に言い聞かせた。

でも、どこか胸の奥が疼いて、なんとなく痛かった。


悠。

はる。



今度は、ちゃんと会って、話したい──。

決意をした。

今度こそ。

今度こそ、大丈夫。


心のどこかでは……、どーせ無理でしょっ、と、諦めていたくせに。
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