わすれもの
1
私は府中駅を降りた。
改札口は北を出る。
意味はない。
用がない時は、決まって北口に足が向いてしまう。
この年齢になっても未だに、誰かが待っているんじゃないかな、とバカみたいなことを考えている。
夢みたいなことを今でも考えてしまう。
もしかしたら、【あの時間】も、夢だったんじゃないかと思ってしまう。
でも、確かに。
確かにその時間はあったんだ。
駅を出ると、ぱっと右目に青い空が入って来て、遠くに緑が見える。
今日は少しだけしか見えない。
いや、そんなものは見えてなかったのかもしれない。
記憶なんてあいまいで、過ぎ去ってしまうもの。
だから、ずっと昔のことなので覚えてないけれど、今、あの感覚はどこでも、いつでも自分の中にある。
それでも。
詳しく言えないけど、今の景色は昔と違う。
過去の記憶は鮮やかなはずなのに、どうしても詳しく思い出せない。
胸がきゅっとなったので、引き返す。
また駅の中に戻る。
他人から見たら不審者に見えてしまうかもしれない。
迷子みたいかもしれないけれど、この年齢では誰もそう思ってくれないだろう。
迷子。
そう、あの日も迷子みたいだったかもしれない。
15歳になる年の夏。
僕は迷子みたいにしていると、向こうから彼女がやってきたんだ。
改札口は北を出る。
意味はない。
用がない時は、決まって北口に足が向いてしまう。
この年齢になっても未だに、誰かが待っているんじゃないかな、とバカみたいなことを考えている。
夢みたいなことを今でも考えてしまう。
もしかしたら、【あの時間】も、夢だったんじゃないかと思ってしまう。
でも、確かに。
確かにその時間はあったんだ。
駅を出ると、ぱっと右目に青い空が入って来て、遠くに緑が見える。
今日は少しだけしか見えない。
いや、そんなものは見えてなかったのかもしれない。
記憶なんてあいまいで、過ぎ去ってしまうもの。
だから、ずっと昔のことなので覚えてないけれど、今、あの感覚はどこでも、いつでも自分の中にある。
それでも。
詳しく言えないけど、今の景色は昔と違う。
過去の記憶は鮮やかなはずなのに、どうしても詳しく思い出せない。
胸がきゅっとなったので、引き返す。
また駅の中に戻る。
他人から見たら不審者に見えてしまうかもしれない。
迷子みたいかもしれないけれど、この年齢では誰もそう思ってくれないだろう。
迷子。
そう、あの日も迷子みたいだったかもしれない。
15歳になる年の夏。
僕は迷子みたいにしていると、向こうから彼女がやってきたんだ。