わすれもの
2
名前も知らない、本当に来るかわからない。
約束だけはした。
午後の二時か三時か。
四時じゃなかったはずだ。
僕は府中駅で、彼女を待っていた。
あの日、中三の夏と言えば、みんな受験で忙しかったのかもしれない。
僕は勉強の意識が高くなく、遊んでばかりで、どうしようもなかった。
たまに、同級生と公園に集まってサッカーをやっていた。
あの夏の平日、僕は全財産をかき集め、持っている服で割とましなもの、シルクのシャツを着て家を出た。
黒の長袖だったので、腕まくりをした。
遅れてはいけない。
待っても来なければ、帰ればよい。
緊張を、そう言い聞かせて整えようとする。
割り切れるのが自分の良い癖だと思う。
その感覚は薄く残っている。
今の私も、あの時と同じように考えるのではないだろうか。
柱を背にして待っていた。
大したことを考えていなかったんじゃないのか。
人生であんなに大事な瞬間でも、その時の当事者にはわからないものだ。
くやしい。
過去と今の自分の感情に名前は付けられない。
変えられない過去に?
もっとベストな選択ができた?
今もじめじめと考えている自分に?
彼女はどう現れたんだっけ?
「やっほー」
と言って、彼女は左から駆けてきてくれたんだった。
約束だけはした。
午後の二時か三時か。
四時じゃなかったはずだ。
僕は府中駅で、彼女を待っていた。
あの日、中三の夏と言えば、みんな受験で忙しかったのかもしれない。
僕は勉強の意識が高くなく、遊んでばかりで、どうしようもなかった。
たまに、同級生と公園に集まってサッカーをやっていた。
あの夏の平日、僕は全財産をかき集め、持っている服で割とましなもの、シルクのシャツを着て家を出た。
黒の長袖だったので、腕まくりをした。
遅れてはいけない。
待っても来なければ、帰ればよい。
緊張を、そう言い聞かせて整えようとする。
割り切れるのが自分の良い癖だと思う。
その感覚は薄く残っている。
今の私も、あの時と同じように考えるのではないだろうか。
柱を背にして待っていた。
大したことを考えていなかったんじゃないのか。
人生であんなに大事な瞬間でも、その時の当事者にはわからないものだ。
くやしい。
過去と今の自分の感情に名前は付けられない。
変えられない過去に?
もっとベストな選択ができた?
今もじめじめと考えている自分に?
彼女はどう現れたんだっけ?
「やっほー」
と言って、彼女は左から駆けてきてくれたんだった。