わすれもの
5
私は最近、酒が飲めない。
飲みたいと思わなくなってしまった。
医者からは止められてはいないけど、なにより自分の気が進まない。
飲む時は、酒の席くらいだ。
酒なんて飲めても、大人であることに何も関係がないと思う。
先日、後輩を飲みに連れて行った。
後輩の方が酒に詳しいんじゃないのだろうか。
人生の楽しみが多くなる分、やっぱり良いかもしれない。
私は中ジョッキ、またはウーロン茶やオレンジジュースを飲む。
私はジュースでも気にしない。
後輩が美味そうにしてくれると嬉しい。
私も先輩になって、おごる立場になってしまった。
喫茶店に入り、彼女は僕の目の前に座る。
きれいなお姉さんが前にいて、ふわふわとして現実感がなくなる。
僕があまりうまく話せなくなると、彼女は静かに笑ってくれる。
彼女は横文字の何かを頼んだ。
今思えば、エスプレッソとか、そのあたりだったんじゃないのかなと思う。
僕は短い時間でうんと考えた。
無難にオレンジジュースにしたいけど、彼女に子供と思われてしまうんじゃないだろうか。
かと言って、コーヒーは飲まないし、好きじゃないし。
だけど、知ってる言葉がメニュー表にほとんどない。
僕は思い切って、「ブラックで!」と頼んだ。
彼女は「飲めるの?」——いや、「大丈夫?」だったかもしれない――って聞いてきたけど、僕は頼んだ。
実際に、コーヒーのブラックが来た。
僕は頑張って飲もうとしたけど、熱いし苦いしで、ひどい顔になったと思う。
彼女は笑いながら、黙ってミルクと砂糖を入れてくれた。
優しいお姉さんだな、と思ったし、僕はこの時に好きになっていたと思う。
飲みたいと思わなくなってしまった。
医者からは止められてはいないけど、なにより自分の気が進まない。
飲む時は、酒の席くらいだ。
酒なんて飲めても、大人であることに何も関係がないと思う。
先日、後輩を飲みに連れて行った。
後輩の方が酒に詳しいんじゃないのだろうか。
人生の楽しみが多くなる分、やっぱり良いかもしれない。
私は中ジョッキ、またはウーロン茶やオレンジジュースを飲む。
私はジュースでも気にしない。
後輩が美味そうにしてくれると嬉しい。
私も先輩になって、おごる立場になってしまった。
喫茶店に入り、彼女は僕の目の前に座る。
きれいなお姉さんが前にいて、ふわふわとして現実感がなくなる。
僕があまりうまく話せなくなると、彼女は静かに笑ってくれる。
彼女は横文字の何かを頼んだ。
今思えば、エスプレッソとか、そのあたりだったんじゃないのかなと思う。
僕は短い時間でうんと考えた。
無難にオレンジジュースにしたいけど、彼女に子供と思われてしまうんじゃないだろうか。
かと言って、コーヒーは飲まないし、好きじゃないし。
だけど、知ってる言葉がメニュー表にほとんどない。
僕は思い切って、「ブラックで!」と頼んだ。
彼女は「飲めるの?」——いや、「大丈夫?」だったかもしれない――って聞いてきたけど、僕は頼んだ。
実際に、コーヒーのブラックが来た。
僕は頑張って飲もうとしたけど、熱いし苦いしで、ひどい顔になったと思う。
彼女は笑いながら、黙ってミルクと砂糖を入れてくれた。
優しいお姉さんだな、と思ったし、僕はこの時に好きになっていたと思う。