まだ青い彼
 今日はプロジェクトの顔合わせだ。そう時間はかからないはずで……。
 実はちょっとだけプロジェクトリーダーに抜擢させるんじゃないかと期待したけど、私じゃなかった。プロジェクトメンバーに選ばれただけでもすごいことだけど、私は割と自分で自分に自信があったことを知った。残念だけど仕事にプライド持つのはいいことだよ、頑張ってきたもん。
 誰だろう、リーダー……。

 第一会議室、以前集められたメンバーがそれぞれ席に着き、パソコンと手元に配られた資料に目を通す。机の中央には商品サンプルが置かれていた。

 前方のドアが開き、男性が入って来ると会議室は静まり、みんなが注目する。

「えっ」
 誰かが驚きで声を上げた。何人かは待っていたとばかりに微笑むだけ。知っていたということだろう。私なんかは、驚いて声が出なかっただけ。

 前に立ったのは――橘さんだったからだ。

「さて、この度指揮を取らせてもらうことになりました。……橘です」

 橘さんが、なぜ。
 疑問は残るけど彼ほど適任はいないとは思う。わざわざ支社から抜擢されるくらいだ。しばらくはこちらに長期滞在されるのだろうか、それとも短期で?
 橘さんと仕事をするのは懐かしく、また慣れない仕事に必死だった時の気持ちが蘇り、一層身が引き締まる思いがした。あの頃よりずっと成長した私を見せられる。

 この日は顔合わせと全体のざっとした流れの説明と枠組みの説明を終えると解散となった。
「東谷、お前がここにいて嬉しいよ」
「もう、びっくりしましたよ、橘さん。事前に教えてくれても良かったのに」

 そう言うと橘さんは少しとぼけた顔をしてみせた。他の人は知っていたこと思うときっと私を驚かせるつもりだったのだろう。
 より一層私にやる気が出てきて、初心に戻れてよかったと思った。
 

 
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