まだ青い彼
「普通に出会った人にはそれなりに礼儀を尽くすのに、こういう出会いは乱雑に扱う人もよくいました。人間性出ますよ、勉強になりました。いちいち気に病んでたらダメなんだなってメンタル強くなりましたよ。だいたいみんな数人を同時進行で進めて、会って決めるって感じですかね。だから断ることにためらわないで下さい。婚活市場(ここ)はそういう場所です」
「え? 」
「あれ、違いました? 途中からどうやって断ろうかなって考えてるんだろうなって気がしたから」
「そういうわけじゃ……まだよくわからなくて」
「最初は戸惑いますよね。初対面の人に次々会うのは消耗する。でも、“会う”までなかなかいかないから、会えるなら会っとかないとって思う。消耗しますよ、僕なんて結婚って何だろうって病みましたもん」
「あははは、でも、すごいわかります」
「こんな感じで、時間だけ過ぎて行きますから。手札が無くなった時の空っぽ感でまた病みます。こんな感じです、婚活って。何かしら楽しみ見つけないとやってられませんね。あははは」

 明るく毒を吐くから、気負わず話せる。変に装う必要もなく。話しやすかった。

「最初にお会いしたのが田原さんで良かったです」
「はは、ちょっとぶっちゃけ過ぎましたかね」
「いいえ、楽しかったです。勉強にもなりましたし」

 楽しく話してこの日はカフェで解散になった。

「では、またアプリで」
「はい、ありがとうございました」

 田原さんは『またアプリで』とは言ったけど、連絡しますとも連絡くださいとも言わなかった。こっちに委ねたんだと思う。
 私も、田原さんから連絡があればまた会おうと思う。けど、自分から連絡するほどかと言われれば、そうじゃないと思う。お互いに、そうなのだと思う。これからまた何人かに会って比べて最初の人が一番良かったかも、そう思ってまた声をかける……。これは、荒みそうだ。
 
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