まだ青い彼
 待ち合わせに着くと、彼、田原さんは指定通りの場所にいて事前に教えてもらっていた通りの外見だった。

 私も自分の飲み物を買って彼の目の前に座った。

「初めまして、田原です」
 彼はそう言って感じのいい笑顔を向けてくれた。

 優しそうな人……。

「東谷さん、こういうアプリで婚活するの初めてですか? 」
「え、はい。わかりました? 」
「ええ、何となく。逆に僕は……ベテランです」

 冗談交じりで自虐するからつい私も緊張が解けてしまった。

「わ。じゃあ、田原さんにご指南いただかないと」
「ははは。何なりと」

 田原さんは私の3つ上の男性で特別目を引くタイプでもないが、だいたいの人が好感を持つ爽やかな人だった。

「僕は結婚に急いではいなくて、40までに、と思って始めたんですけどなかなか難しい。こう言ってはなんですが、マチアプって意外に綺麗な人多いんですよ。東谷さんもそうですが」

 田原さんはそう言ってにこりと笑った。ああ、何となくこういう出会いに慣れているんだなと感じたが悪い気はしなかった。

「そうなんですね。みんな理想が高いのかな」
「忙しいんだと思いますよ。みんな自分の事で忙しい。気づけば恋人もいないまま適齢期になっていて、子供のことを見据えると女性のほうはリミットが迫っていると感じて焦るんですよ。男だと僕の年でもまだまだ需要あって若いくらいの扱いしてもらえますけど」
「ええ、わかります」
「何でしょうね、普通に社会に出て周りの人見てたら、いくつ下はこの世代でこんな感じかーってわかるのに、婚活市場だと数字だけ見て若い女に行こうとする。普通の男は同年代好みますよ。だって、そこがしっくりくるでしょう」
「なるほど、わかります」

 すごいわかるんだけど今の私には耳も痛い。こう考える()()()()()は貴重かもしれないのに。
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