まだ青い彼
 早急に答えを出さないといけない。
 というか、答えは出ている。たった一度の人生だけど、広睦くんを巻き込むことはできないと思う。

 それなら早々に別れを切り出すべきだ。
 橘さんを受け入れることはまだ心の準備が出来ていない。橘さんと付き合うから別れるわけじゃない。

 さすがに誰にも相談できない。相談しても全員一致で“橘さんにしておけ”って言うに決まっている。“婚活女子はもっとうまくやらなきゃ”そう言われるに決まっているから。

 はぁ、広睦くんに出会って、婚活始めてから自己嫌悪ばっかりだ……。


 ――――――

「いよう、なんだよ。冴えない顔して。昨日デートだったんじゃないのかよ」
「!? 何で分かった……そういうのセクハラでは? 」
「ははは。聞いただけだよ。本当にそうだったんか。あ、じゃあ別れたり……」
「してませんよ。なんですかもう、朝から」
「なんだよ。まだ別れてないのかよ。あー……いいな、同じ会社って」
「橘さんなんかキャラ変わってません? 」
「んー、何か色々吹っ切れたのかも。今日の夜は? 」
「毎日外食はきついです」
「じゃあ、昼に。後でな」

 橘さんは私の返事も聞かず機嫌よく去って行った。もう、と呆れて吹き出す。新たな一面、なんだけどさ。昔の方がずっと橘さんを大人に感じていた。そうだな……23歳の私から見て橘さんはずっと大人だったし、30を過ぎた人は本当に大人にみえたものだ。実際30過ぎた私はずっと優柔不断で情けなくて周りの意見を気にしながらも自分の一時の感情に振り回されている。

 自分を大人だなんて到底思えない。

 「東谷さんと橘さんって仲いいんですね」
 不意に声をかけられ固まってしまった。振り向くと沢田さんがいて、まぁ、と濁す。

「いいなぁ、私も早くお二人に追いつきたい」

 他意のない顔に私はただ微笑んで
「これから、これから」と声をかけた。意識しすぎだって私。
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