まだ青い彼
第7話
 家に帰ると、油断すると余韻に飲まれそうになって広睦くんから目を逸らした。

 はやく、はやく。焦る気持ちでマチアプを開く。この数秒ですらもどかしい。広睦くんと会っている時は楽しむ。けど、それ以外は……。考えちゃいけない。会ってない時まで思い出しちゃいけない。

 息を大きく吐いてメッセージを開く。何度かやり取りした人からだった。

『よかったら、今度会えませんか』

 一番感じがいいと思っていた人からだった。どうしよう、なんて思っている場合じゃない。

『ぜひ、よろしくお願いします』

 そう返事して一息ついた。前に進まなきゃ。直ぐに返事があり日時も場所も決まった。前へ進まなきゃ。
 時は止まってくれないのだから。

 入浴を済ませ、ベッドに横になってぼんやりとしていると言いようのない不安に押しつぶされる。このまま一生一人、結婚出来ないかもしれない。周りはみんな結婚して、子どももいるのに。自分だけ、結婚できない。そんな気がして不安に押しつぶされそうになる。結婚てどこかで中学とか高校に行くみたいにみんなが自然に行けるものだと思っていたのに、周りがどんどんライフステージをのぼっていくなか、自分だけがそこに行けない気がして。行きたいのに行けないジレンマが苦しい。誰かと付き合えばごく自然と結婚を意識する。恋愛相手ってそういうものだと思っていたのに……。

 頭ではわかっている。結婚出来なくて私には他に手にしているものがあってけして不幸ではない。

 でも、どうして結婚だけが出来ないんだろう。ほんとに?みんなが普通に出来ていることが私はどうしてできないんだろう。そう思うと勝手に涙が出てきて声をあげて泣いてしまった。

 泣けてきたのはきっと不安だけじゃない。したくてたまらない結婚という目標のために切り捨てなきゃいけないものが、私の心の中で幅をきかせ、手離したくないものにかわりつつある。矛盾するものは併存出来なくてどうしていいか混乱しているのだ。

 いいえ、わかってるのよ。()()()()()()()()()は。ただ、それが辛いだけ。辛いと思う自分が情けないだけだ。

 私、何をしているんだろう――……。

 


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