チャラ男も笑えば雑巾に当たる
……ん?
ふと脳裏に浮かぶ女子トイレでのセリフ。
────『身長は高めでー、髪は長くてくるくるって巻いててー、顔はめちゃくちゃ美人さんだってー』
もしかして、犬井駆と駅前のデパートで一緒に歩いていたとうわさのカノジョって……。
「ああ、なるほど」
ポロッとこぼれた小声は数学の問題に対してではない。
だけどそういうことにして次の問題へ進むふりをしなきゃ。
ちら、と隣に座るカナミが反応したけれど特に何か言うことはなく黙々と時間は流れた。
犬井駆はカノジョなんていない。
いるのは仲の良いお姉さん。
胸がすく思いっていうのかな。
そんな感覚が私の内側で起こって、でもその正体はやっぱり認めたくなかった。
「ふうーーつかれたあ〜」
のびーんとソファにばんざいして仰向けになるさとみさん。
その一言でみんなも ふーっと深いため息やあくび。