チャラ男も笑えば雑巾に当たる
立ち上がろうとしたら手首をぐいっと引っ張られる。
「っ、」
気がつけば彼の可愛らしいお顔が間近に。
じっと見据える犬井駆の両目はヘーゼルナッツみたいな淡いくすみブラウン。
タレ目の寝ぼけ眼はとろりと甘い色気をかもす。
「これから毎日朝と昼休みと放課後は絶対ひとりでここに来てね」
「……は?」
これから?毎日?朝と昼休みと放課後って……授業以外のほぼ全部じゃん!
「ぼくの昼寝につきあって」
「えーっと……昼寝とは?」
「返事は」
「は、はいっ」
「ん、よろしく」
つかまれた手首が解放される。
顔だけ至近距離なことに気づいて今さら恥ずかしくなって素早く身をひるがえす。
「帰ります!さよなら!」
「またねー」
ちら、と肩越しに彼を見ると、ばいばーい、とまだ眠たそうにひらひら手を振っている。
あ、そういうとこはちょっとかわいいかも。
って思ってしまった自分に困惑するも、そんなの一時の気の迷いだと信じている。