チャラ男も笑えば雑巾に当たる
「ごめんね、おどろかせるつもりじゃなかったんだけど」
「……べつに」
「みのりん急にいなくなったと思ったらこんなとこにいたんだねえ。爬虫類すきなのお?」
「……べつに」
「この子おとなしいねえ。ぼくがさわっても噛まれないかなあ」
「……べつに」
「みのりん……体調わるい?」
だいじょーぶ?とこちらをのぞき込む犬井駆。
「っ、近い、来ないでっ」
さっと身を引いて距離をとる。
変に意識しちゃってうまく話せない、顔を見られない、頭が回らない。
明らかに挙動不審な私を犬井駆はどう思っているのかな。
考えられないし考えたくもないや。
「……ごめんね、まだうまく距離つかめなくて」
両手をポケットに入れてうつむく彼はこれ以上近づいてこない。
「っ、……改める努力、してるのね」
「うん」
心なしかしょんぼりたれ下がるしっぽが見える。
彼はべつに悪いことをしたつもりはないんだ。