魔法がなくても


「うわぁ……すごい!量もだけど、全部の見た目が綺麗だ。どれにしよう……」




色々香りくらべをしながら、宙くんはアロマ選びへ。
その間本を、とてきとうなものを手にとって私は立ち読書。


そして、十分ほどが経った頃──


「これにする!一番好きな感じしたから」


四角い小瓶を手に、宙くんは私のもとへとやって来て選んだアロマを見せる。

宙くんが選んだのは──夜空の香り。

夜空なんて匂い分からないけど、本にはそう書いてあったから作ったもの。

他にも虹の香りとか雲の香りとか……。

本当にそうなの?と思うものもあるけど。


「落ち着くでしょ?私も夜空の香りけっこう好きなんだ。今日から使ってみて。一ヶ月は持つから」

「うん、ありがとう」


私も、最初にこの島に来た頃は毎日不安だらけで帰りたくて寂しくて、眠れない日々が続いていたから。

夜な夜な四が貸してくれた本を読んでいた時に、のっていたアロマレシピが目についたことがきっかけで作るようになった。

だから、宙くんの不安や悩みも眠っている間だけはやわらぐといいな。

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