魔法がなくても



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六野優利くんが来てから数日、私は宙くんのバイト終わりを外のベンチで本を読みながら待っていた。

優利くんとはじめて会った日、私にだけ向けられたあの握手の意味がいまだに気になっている。
それに、毎日すれ違ったり見かけたりするとやはり私にだけ優利くんがすぐにほほえむから、乃蒼がもう……大変。
なぜ私だけなのか悩むも、四たちは『気に食わねぇから気にすんな』と口をそろえて言ってきた。


「別にどこかで知り合った記憶はないしなぁ……」


ぱたりと本を閉じ、空を見上げる。
すると、本の上に重みが。


「何読んでるのかにゃ?お勉強?」

「理事長。勉強ではないですよ。絵本に近いものを読んでました」

「ふむ……」


魔法界の中では童話……というのか神話的なものに近い本。
白と黒の龍と魔法──という題名。

理事長は立ち上がり本の表紙を見て、また座った。


「あのねセラセラ。ノアノアやヨンヨンがあの王子様くんを気にしてること、間違ってないと思うのにゃ」
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