未完成のワンフレーズ


李仁、李仁。

ほら、笑って。


「ほらーっ! タケちゃんもっと寄ってってば!」

「いや、なんで俺までっ――おわあ!」


今日はクリスマスイブ!

明日はお待ちかねのクリスマスだから、今日はいつもお世話になっている三人を中庭に連れてきたんだ。


小児科の看護師長のおばちゃんと飾り付けを作った日から仲良くなって、今は写真を撮るためにカメラを構えてくれてる。


いつものベンチに私と李仁が隣り合って座って、タケちゃんが私の隣で立膝に。私達の後ろに四宮せんせーとみっちゃんが立っていた。


「それでは撮りますよー」


いいなぁ、なんだか家族写真を撮っているみたいだね。


「李仁、李仁」


ベンチの上で固まっている手を握って、私は何もかもを忘れて笑う。

そうすれば、あいつも一緒に笑うんだ。


「ほら、笑って」


写真はいつまでも形に残るの。

だから、さいっこうにいい笑顔で写りたいじゃん!


笑うのがしんどいなら、私がそれ以上に笑ってあげる。

だから、李仁はほんのちょっとでもいいから、笑ってくれたらそれでいいの。



「⋯⋯わせ、だな」


いつまでも繋いでいたかったけど、それも長くは続かない。


私はおばちゃんが撮ってくれた写真が気になって仕方がなくて。


すぐに、離しちゃったんだ。



「あっは! タケちゃん表情固すぎ!」

「呼び出しといてそれかよ⋯⋯」

「でもいい写真じゃない。現像してまた渡すわね」

「わーいっ! ありがとみっちゃん」


皆、どうして私がここで写真を撮りたいって言い出したか分かる?


李仁がやり直したいって思った元々の世界よりもいい写真を撮って、過去を塗り替えしたかったからなの。


そうすれば、もう過去に囚われなくて良い。


李仁だって、

安心できるでしょ―――。

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