未完成のワンフレーズ
それなのに、なんで一人で背負うような真似するの。
「分かん、ない⋯⋯分かんないよ」
「……まだ、全部は言えない」
「嫌。ちゃんと説明して」
「今のお前には、まだ必要ないから」
なんなの、なんなのそれ。
自分の都合の悪いことは曖昧に濁して逃げるってこと?
取り上げた写真をギターケースに直そうとするから止めれば、李仁は困ったように笑った。
その笑顔を見ていると、何故か胸が痛くなる。
まるで、この先にある何かを全部知っているみたいで。
「でも⋯いつか、絶対に全部話す」
「……いつ?」
「お前が、自分で聞いても大丈夫になったら」
「何それ」
私の手を振り払って、写真をギターケースに直した。
それからもう一度私に向き直って、小指を差し出してくる。
「約束する」
「破ったら?」
「破らない」
「絶対?」
「ああ。絶対」
じゃあ、待つよ。
そういう代わりに、彼の小指に私の小指を絡ませた。
その瞬間に、何故だろう。この約束を、私は以前にも交わしたことがあるような気がした。
「⋯⋯練習、しよ。難しいこと考えるの苦手だから、一緒に練習しよ」
今まで、李仁はもっとギターを練習してソロ活動すればいいと思ってた。
けど、私達は互いの苦手を補い合う方が性に合っているんだって、
私気づいちゃったんだ。
一回だけ、私も歌を練習しようと思ったことがあってね。
李仁がいつも歌っている曲を歌ってみたら、
あら不思議、いつも褒めてくれる四宮せんせーに馬鹿にされちゃいました。
タケちゃんまで呼んで、披露すれば腹を抱えて笑われて。
ギターが苦手だけど歌が上手な李仁。
歌が苦手だけどギターを弾ける私。
二人で一つになれたらいいのにね。