未完成のワンフレーズ
「やだよ、やだよぉ⋯⋯死んじゃやだ⋯⋯死んじゃやだぁ⋯⋯っ!」
つい最近、休憩スペースのテレビで見たんだけどね。
有名なタレントさんが一人、急性骨髄性白血病で亡くなったらしいの。
「初めてできた、トモダチ⋯っで! 初めて⋯⋯好きになった人、だからっ」
亡くなったタレントさんの奥さんがニュースで言ってた。
『大切な人でした。今でも失った実感が湧きません』って。
別れなんていつかは来るって分かってるけどさ、絶対受け止めきれないよ。
今でこんなにもいっぱいいっぱいになってるんだから。
「苦しそうにしてるとこ、見れば見るほどさ⋯」
「ああ」
「いつか、いなくなっちゃうのかなって⋯⋯思っちゃって⋯⋯⋯」
いなくなったら私は一人になるんだろうな、とか。
あの歌声を聞けなくなっちゃうんだろうな、とか。
もう喧嘩もできなくなるんだろうな、とか思っちゃってさ。
「嫌い、嫌い⋯⋯大っ嫌い!!」
我が儘だなぁ、私。
やっぱりさっちゃんが出てきてるのかも。今日は珍しく意識があるだけで。
「⋯俺はさ、神様とか幽霊とか目に見えない存在は信じない主義なんだ。目に見えるものばかりが真実じゃないってよく言うけど、結局人間は目に見えないものに対して恐怖する」
「どーゆうこと?」
涙でグシャグシャの腕を目元から離すと、タケちゃんが乱暴にハンカチで涙を拭ってくれた。
「神なんかに自分の人生を預けんなってこと。嫌なら自分の口で言え、行動に移せ。上手くいくように神に縋ったり、上手く行かなくて神のせいにしたりすんな」
自分で行動できる人間は、神すらも越えられるんだよ――。
ねぇ、タケちゃん。
今の私にとって、タケちゃんが神様だって言ったら怒るかな。