未完成のワンフレーズ
「紗綾姉見て見て! こぉーーーーんなに長いのできた!」
「わあっ! すっご! なになに、皆で作ったのー?」
「誰が一番多く輪っかを作れるかきょーそーしたの!」
「それじゃあ皆頑張ったから全員の勝ちだねっ!」
クリスマスまであと三日。
小児科病棟の受付前には、子供達がテーブルを囲んで飾り作りをしていた。
そこに混ざる十五歳の私。
決してさっちゃんが表に出ているわけではありません。
「おにーちゃん輪っか潰れてるー!」
「あ? あー、またか」
「なんで作った輪っかの上に手を置いちゃうのー!?」
少し離れた別テーブルには、男児に囲まれて輪っか作りに四苦八苦する李仁がいる。
最近は体調も安定しているようで、こうして調子がいい時は病室の外に出るようにしているらしい。
とは言え、あの写真について問い詰めた日から、なんとなーく顔を合わせづらくて会っていなかったのだけど。
「紗綾姉⋯⋯これ、あげる」
「ん? これって⋯指輪⋯⋯?」
ガンッ―――!!!!!!!
「うわあっ! びっくりしたぁ⋯」
何事かと思って見てみれば、男児に紛れてせっせと飾りを作っていたはずの李仁の様子がおかしい。
テーブルに頬杖をついて明後日の方向を向いている。わざと私に背を向けているみたいだ。
「おにーちゃん、鬼みたいな顔ー」
「うっせ」
なに、もしかして⋯⋯嫉妬してる?
この指輪って、もしかしなくても結婚指輪意識してるよね。
こんなちびっ子でも、そうやって結婚とか気になっちゃうものなんだなー。
「マセガキが⋯⋯」
ここ、小児科病棟のど真ん中です。
不適切発言はやめましょうねー、おにーちゃん。
「はい、どーぞ」
「は? ―――おわっ!」
不貞腐れたおにーちゃんの頭上から、手作りネックレスをプレゼント。
折り紙の輪っかを繋ぎ合わせた大きすぎるネックレスは、上手く李仁の頭を通って肩に着地した。
あまりにも輪っかが大きすぎて、ファーを提げいるみたい。