未完成のワンフレーズ
大嫌い
 


人間って、一度傷付くと簡単に壊れていっちゃうんだって。


終わってしまった世界で生きていた私も、壊れちゃったんだろうな。



「せんせー、私思い出したんだ」



クリスマスの日、李仁は倒れた。

本当は、三日前の準備をしていた日から限界だったらしい。


無理しないでって、しんどいなら言ってって伝えたはずなのに。

あいつは一言もしんどいとは言ってくれなかったなぁ。



「お母さん達が一度もお見舞いに来てくれない理由」



私がずっと忘れていたのは、思い出さないようにさっちゃんが守ってくれていたから。

それと、もう一つの世界の私が、覚えていたせいで壊れちゃったから。



「私がこうなったのは、二人が死んじゃったからなんだね」


そりゃそうだ。

死んでいたらお見舞いに来れるわけがない。



「なんで、教えてくれなかったの?」

「⋯⋯ご両親を目の前で亡くしたことが原因で発症したのなら、教えれば紗綾ちゃんを苦しめると思ってな」

「そうしていたから、何も知らない私達はせんせーに問い詰めたんじゃないの?」


何も知らないさっちゃんのことだから、聞いたと思うよ?


お父さんとお母さんはいつ来てくれるの? って。


「⋯⋯いつかは思い出すと思っていたさ。かなり大きな事件だったから、ニュースにもなっていたし」

「目の前でお父さんがお母さんを⋯⋯って、ほんと最悪な家に生まれたんだね私」


あの二人は最後まで何をしていたっけ。


『逃げて!!!!』


お母さん、お母さん⋯⋯。


「せんせー、李仁はどうなった?」


私の過去なんてどうでもいい。

今は、あの後李仁がどうなったのか知りたい。


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