【続編】ふたりの恋のそだてかた。
ドキリと心臓が僅かに跳ねる。
でも表情や仕草にまでは出ていないはず。
ただ、ほんの少し構えて表情が止まったのを御伽蘭子は見逃さない。
「ふぅん、いいね。使えるよそれ。
色と欲。今日の瀬名くんは、この間よりは侑征に近づいてる気がするから」
まただ。低く胸に直接触ってくるような、嫌な声色。
御伽蘭子はどこか無邪気にふっと微笑むと、「この後のリテイク楽しみだなぁ」とふわふわ離れて別の共演者の元へと去っていく。
(“使える”って。物みたいに言うなよ)
言語化できない不快感。
御伽蘭子がどこまでわかって言っているか知らないが、思い当たるそれは別の何かに転用できる感覚じゃない。
「シーン45の撮影始めます!御伽さん瀬名さんお願いします!」
苛立ってモヤモヤとした感情を断ち切れないまま。
スタッフの声で、先週のNGシーンのリテイク撮影が始まった。