【続編】ふたりの恋のそだてかた。
(あんな演技か本気か曖昧な状態でやるべきじゃなかったのに。
でも一応触れる以上のキスは踏みとどまったし、あんな反応されて平気でいられるほど俺も大人じゃ――……)
「瀬ー名ーくん」
場面転換を待つために隅の方で待機していると、真隣からぬるりと呼びかけられる。
御伽蘭子だ。また音もなく近づいてきて、肩に顎が乗りそうな距離に入られている。
「……。御伽さん。どうしました?」
異常な距離詰めにも、少し耐性がついたようだ。
動じることもなく、静かに正常な距離感になるよう離れる。
「瀬名くんこそどしたのー?
珍しく悶々とした顔してぇ」
「……してませんけど」
「ええー?そっかなぁ?
ここに皺、ちょーっとだけ寄ってたよ〜?」
「……」
トン、と自分の眉間に人差し指を置いて、御伽蘭子はゆるりと垂れた目に三日月を描く。
やっぱり食えない。何を考えているかもわからないくせに、妙に人のことは見ている。
「……んー……」
前に向き直った横顔に、無駄にしっとりしているのにどこか無機質な視線が絡んで居心地が悪い。
でもここで反応したら余計な情報を与えそうな気がして、なるべく表情筋を動かさないようにしながら無視を貫く。
「瀬名くんさぁ……ここ直近で、プライベートでなんかあったぁ?」