【続編】ふたりの恋のそだてかた。

――そのまま、私と紫苑の2人での撮影に入る。
これがまた、噛み合いがすごくいい。

「背中合わせの画ください。目線上の方で」

シャッターを切りながら、次々とポーズ指定が入る。

私が少しだけ背中を丸めて目線だけを上にすれば、紫苑はその分だけ上体を反らせて顔ごと上方を向く。

クラスの中の影と光、空気と人気者の構図。

「そのまま、振り返って見つめ合って」

そしたら、どちらからともなく背筋をまっすぐに直して振り返る。

そのあと、紫苑は少し腰を前に折った。
たぶん、気になる女の子と目線を合わせるニュアンスのため。

だから紫苑の照れたみたいな表情に合わせて、私も少し恥ずかしそうに目を細めておく。

2人の間に作り出した甘酸っぱい空気感が、スタジオに伝播して静かに場がざわめく。

「ふたりともすごくいい。世界観できてる。
ちょっと好きなようにポーズ取ってみて」

「……」
「……」

そう指示が飛んだ瞬間、一瞬同時に素に戻って目配せし合う。


先に仕掛けたのは紫苑。
緩く私の指先をとって、自分だけこっちに体の向きを変えた。

(……中盤のシーンの再現か)
< 110 / 160 >

この作品をシェア

pagetop