【続編】ふたりの恋のそだてかた。

教室中どころか外にまで響いてそうな声に、出演者たちが驚いて彼に振り返る。
紫苑も珍しくびっくりした顔をしている。

恭介くんだけは周りに気づかず、めちゃくちゃ嬉しそうな顔で一直線に私のところまで走ってきた。

「お疲れ様です!これから撮影ですよね!
駅から道に迷っちゃって、御手洗さんに助けてもらいました!」

私の隣にいるスターにも気づかず、夢中でおしゃべりをする恭介くん。

この度彼は、この映画のエキストラとして出演することになっていたのだ。
ちなみに、自分で応募したらしい。

「私に挨拶は後。まず監督、それから主要スタッフ、キャスト。ここは事務所じゃないから。私が誰と喋ってたか、ちゃんと把握してから入ってきて」


危なっかしい、この新人。
内心ヒヤヒヤしてるから、意識的に厳しい態度で指導する。


「はいっ!わかりました!」

どこまでわかっているのか、訳わからない方向に走って行こうとするから、すぐに御手洗に視線を飛ばして“あとは任せた”と合図した。

どっと疲れて一息つくと、隣で紫苑が呆然としていた。
< 131 / 160 >

この作品をシェア

pagetop