【続編】ふたりの恋のそだてかた。
12:00。
今日は午後からお互い仕事があるから、これでおしまい。
バッグを肩にかけると、私の後ろに立って疲れた顔をした爽真に振り返った。
「ラストシーンまで行けなかったけど、とりあえず感覚は掴めたでしょ?来週の撮影、頑張ってきてね」
初回の撮影が終わるまで、もう会える暇はない。
だから付け焼き刃でも、今日詰め込んでおきたかった。
「ん。ありがとな。
……瑠奈も映画のこととか、いろいろあるのに」
ぽす、と頭に爽真の手が乗る。
なんとなくしょげて見えるのは、疲れているせいだろうか?
「いいよ。私がしたくてやってるから。
瀬名爽真、演技が棒。とか言われたら、悔しいもんね」
茶化すように笑うと、爽真がム、と眉を寄せる。
「じゃあ」と離れようとした時、緩く指先を掴まれた。
「アオバケの時も、同じ感覚で演技してた?」
不意打ちの質問に、目が丸くなる。
なんとなく心細そうで、何かを確かめたがっている顔。
「まぁ……精度は今の方が高いけど、そうだね。
“瑠奈”を演じてる時は、100%“瑠奈”だったよ」
厳密に言えば、多少のブレはあった気もするけど。
爽真と会っていた深夜以外は、ずっと“瑠奈”でいようとしていた気がする。
“紫苑との時間も演技だった”
私には意図はわからなかったけれど、爽真が欲しかったのは、その証明。