【続編】ふたりの恋のそだてかた。
爽真の近くに行って、ふむ、と顎を押さえて思案する。
「グラス拭くとき、目線動かす瞬間一擦りだけ指に力入れるとか。ここは侑征が意味深に抜かれるワンカットだからね。細部にまでこだわりたい」
悩んで爽真の手元を見ている私の頭に、爽真はくすぐったそうに目を細める。
それでいて、少し驚いているようでもあった。
「……瑠奈、普段からここまで考えて演技してんの?」
「ん?そりゃね。舞台だと特に、常に全身お客さんの目に晒されてるし――その人ならどうするか、何を思うと体がどうなるか、ずっと考えながらやってるよ」
「へぇ」
「“へぇ”じゃない。全面協力するって言ったからには私がちゃんとサポートするけど、最終的には爽真が自分でできるようにならなきゃなんだからね!?」
バッと顔を上げて、容赦なく説教をくらわす。
爽真が口を結んで面食らった直後、ものすごく珍しく崩れた笑みを見せた。
「……!?何その顔。可愛く笑ってもダメだから!」
「なんの話?」
指摘した瞬間スンと戻る無表情に、目の錯覚かと瞬きを繰り返す。
――そんなこんなでみっちり2時間、細かく細かく爽真に演技を叩き込んだ。