世界で一番わがままな君とガラスの心臓
夜の帳が下りた海咲町の路地裏に、静かに満潮の波音が響いていた。


【第2章】なまこ壁の路地でカメラを向けられて
第1節:ガラスのお姫様と放課後の罵詈雑言
六限目の終わりのチャイムが鳴ると同時に、二年B組の教室の一角は、まるで小さなファンクラブの集いのような人山が築かれる。
その中心にいるのは、茅野明日だ。
「茅野さん、移動教室の移動、俺がノート持ってこうか? 階段とか大変だろ」
「明日ちゃん、体調大丈夫? 暑かったら扇風機の方に席かわる?」
男子も女子も、申し合わせたように競い合って明日の周りに集まってくる。
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