世界で一番わがままな君とガラスの心臓
茅野家の木門の手前に、一軒の古びた店がある。


木製の看板に大きく『一之瀬写真館』と書かれた、昭和の香りを残す二階建ての建物だ。


ショーウィンドウには、セピア色に褪せた町の人々の笑顔と、重厚なレトロカメラが飾られている。


普段はシャッターが下りていることが多いその店の前で、ふと足が止まった。



(……あれ?)


黒と白の格子模様が美しいなまこ壁の壁際。


夕暮れの光が落ちる路地裏に、ひとりの男子がたたずんでいた。


私より頭ひとつ分以上、高い背。
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