世界で一番わがままな君とガラスの心臓
湊先輩は、明日を『病気の明日』としてではなく、ただの『茅野明日』という一人の女の子として見つめていた。


夕暮れ時の光が、二人の間に柔らかく差し込んでいる。


明日の頬が、じわじわと朱に染まっていった。


さっきの怒りの赤さじゃない。耳の端まで、首元まで染め上げていく、ほんのりとした、けれど確かな初恋の赤。


「……う、うるさい」


明日は蚊の泣くような声で呟くと、黒髪を前に引き寄せ、必死に真っ赤になった顔を隠そうとした。


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