世界で一番わがままな君とガラスの心臓

レンズ越しに捉えた一瞬の命

「うるさい、うるさい……バカ。大嫌いよ、東京の人なんて……」


強がる言葉とは裏腹に、絞り出す声は細く震えている。


膝の上でギュッと握りしめられた彼女の小さな手が、居心地悪そうに震えていた。


私は、隣でそんな明日の横顔を見つめながら、胸の奥がキュッと締めつけられるような感覚を覚えていた。


(明日が……照れてる……)


いつも世界中のすべてを睨みつけていた明日の瞳に、今まで見たこともないような、年相応の女の子の感情が宿っている。


止まっていた私たちの夏に、新しい風が、確かに吹き抜け始めていた。


「さっさと帰りなさいよ……」


黒髪のの隙間から見え隠れする明日の耳たぶは、夕陽の茜色よりも濃い赤に染まっていた。
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