世界で一番わがままな君とガラスの心臓
あんなにも口が達者で、大人たちを手玉に取ってきた明日が、たった一人の男の子の言葉に翻弄され、必死に顔を隠している。


私——風花は、息をのんでその光景を見つめていた。


(明日が……こんな顔するなんて)


いつも運命への怒りに瞳を燃やし、世界中のすべてを突っぱねていた明日。


その彼女が、いま、年相応のどこにでもいる「恋する女の子」の顔をしている。


湊先輩は、そんな明日の反応に嫌味なくふっと微笑むと、膝の上に置いていた一眼レフカメラをゆっくりと持ち上げた。


「明日ちゃん。……ちょっとそのまま、動かないで」


「……は? なに言ってるのよ。盗撮なら警察に通報するわよ」
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