海から届いたお守り

それぞれの進路へ

高校三年生になって、三者面談も終わった。

凪沙と樹は、それぞれの進路に向かって動き始めていた。

凪沙は、佐賀関にある介護施設について、家でも学校でも調べるようになった。

施設の場所や仕事内容、働いている人たちのこと。

介護の仕事に就くには、どんな勉強が必要なのか。

調べれば調べるほど、凪沙の中で「介護の仕事をしたい」という気持ちは強くなっていった。

そしてある日、学校から施設見学の機会があった。

凪沙は実際に佐賀関の施設を訪れた。

「こんにちは」

職員さんに挨拶をすると、施設の中を案内してもらった。

利用者さんと話をしたり、職員さんが介助をしている様子を見たり。

「大変なこともありますけど、利用者さんが笑ってくれたり、ありがとうって言ってくれたりすると嬉しいですよ」

職員さんの言葉を聞いて、凪沙は頷いた。

帰る頃には、心の中で決めていた。

――やっぱり、ここで働きたい。

家に帰ると、樹が待っていた。

「どうやった?」

「うん。すごくよかった」

凪沙は嬉しそうに話した。

「施設の人も優しかったし、利用者さんとも少し話せたんよ」

「へぇ」

「私、やっぱり介護の仕事したい」

「うん。凪沙ならできると思う」

樹は笑った。

「ありがとう」

凪沙も笑った。



一方、樹も大学について調べていた。

日鉄でパソコンやプログラムを使う仕事をするために、大学で専門的に学びたい。

そう考えて、いくつかの大学や学部を調べていた。

ある休日、碧と一緒に大学の説明会へ行った。

学校の施設を見たり、授業内容を聞いたり。

「ここで勉強するんか……」

樹は少し緊張しながら校内を見渡した。

碧が隣で笑う。

「どう? 気に入った?」

「うん。ちゃんと勉強したら、お父さんみたいな仕事に近づけそう」

「そうやね」

帰宅すると、樹は竜樹にも大学の話をした。

「お父さん、この大学でパソコン関係の勉強してみようと思う」

「そうか」

「それから日鉄を目指したい」

竜樹は嬉しそうに頷いた。

「なら、今からしっかり準備せんとな」

「うん」

「分からんことがあったら、いつでも相談せえよ」

「ありがとう、お父さん」

二人は、それぞれの未来へ少しずつ近づいていた
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