クールな氷の王子は無自覚地味子を独占したい
うわ、ホコリ付いたままだった……

私がアタフタしていると、氷室くんはひょいっと身を乗り出し、私のバッグのホコリをパンパンと軽く払ってくれた。

至近距離に近づいてきた綺麗な顔に、思わずドキッとしてしまう。

「ほら、取れた。……お前、廊下で豪快に転びでもしたのか?」

「……え?」

「それか、掃除のしすぎでホコリまみれになったとか?」

不思議そうに小首をかしげる氷室くん。
そのあまりにも的外れで天然な推測に、私の緊張が一気に抜けていく。

「ふふっ……ち、違うよ。ちょっと落としちゃっただけ!」

私が笑うと、氷室くんは「なんだよそれ」と呆れたように笑った。
けれど、ふと私の顔をじっと覗き込んでくる。

「……でも、なんか今日いつもよりテンション低くないか?」

「え……そう、かな?」

「わかった、もしかして腹減ってんだろ。これやるから元気出せよ」

そう言ってポケットからいちご味のキャンディを一つ取り出すと、私の手にぽんと握らせた。

「じゃあな。転ばないように気をつけろよ」

ひらひらと手を振って去っていく背中。
手のひらに残ったキャンディを見て、彼のその優しくて少しズレた鈍感さに、私はふっと心が軽くなるのを感じていたのだった――。
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