攻略対象の想い人は、ナレ死予定の転生聖女 欠損を肩代わりしたら、なぜか曇った三英雄が執着してくるのですが?
【1-1】1人目・左目の傷を肩代わりして
「うわぁあああ!」

 鬱蒼と生い茂る森の奥深くで、この世の終わりを錯覚するかのような男性の絶叫が響き渡る。

 左目を抑えてその場に蹲る人物の名は、ルドルフ。
 リジェンタス王国の第二王子だった。
 彼は魔獣の鋭い爪によって傷つけられた左目の痛みに耐え切れず、その場でゴロゴロとのたうち回る。

 ここにいる誰もが、その光景に絶句していた。

「ルドルフ……っ! しっかりしろ!」

 殿下に駆け寄ったのは、彼の親友。辺境伯を務めるガザンだ。
 武器を投げ捨て、介抱に必死となる。

 まさか、魔術の天才と謳われる殿下が怪我をするなど、思ってもみなかったからだろう。まだ敵がいるのに、動揺を隠せていない。

 ――今、魔獣を倒すために戦いへ身を投じられる人間は、自分の幼馴染。
 聖騎士として剣を振るう、フェドクスしかいない。

「エミリエ」
「魔物は、任せてもいい!?」
「ああ」

 私が声を張り上げて彼に命じると、フェドクスは当然のように殿下を傷つけた魔物へと襲いかかった。

 ――これで、時間を稼げる。
 しばらくは、自由に動けるはずだ。
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