攻略対象の想い人は、ナレ死予定の転生聖女 欠損を肩代わりしたら、なぜか曇った三英雄が執着してくるのですが?
「あんたはもっと早くに、怒鳴りつけるべきだった。いつまでも子どもじみたマネしてねぇで、大人になれって」
「魔王討伐には、あなたの力が必要です。これ以上、ガザンと険悪になりたくなかったので……仕方ありませんでした」
「黙ってじっと耐えているだけじゃ、何も変わんねぇぞ」
「そうですね」
「なら……」

 どれほど「私の行動は間違っている」と言われても、己の歩むべき道から逸れるつもりはない。
 これこそが、私の正しい道なのだ。
 無理に抗う必要があるとは、思えなかった。

「時が来れば、動かざる終えない状況になります。私はそれまで、心穏やかに過ごしたいのです」
「よく知りもしねぇ野郎どもから罵倒され、無能と蔑まれる日々が、心穏やかな日常? そんなわけねぇだろ」

 彼の瞳に、再び後悔の念が浮かび上がる。
 ガザンは忌々しげに、言葉を吐き出した。

「こういう生活はな、地獄って言うんだよ」
「いいえ。言葉の暴力など、そよ風が吹いた程度にしか感じられません。地獄のような日々と言うのは――」

 私は、思い出したくもない過去を脳裏に思い浮かべる。
 光が届かない牢獄に押し込められ、痛めつけるだけでは飽き足らず、満足な食事すらも得られなかった日々。
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