攻略対象の想い人は、ナレ死予定の転生聖女 欠損を肩代わりしたら、なぜか曇った三英雄が執着してくるのですが?
「聖なる力に、覚醒したの。純潔を失えば……」
「そんなの、ただの迷信に過ぎない」
「フェドクス……」
「エミリエは、いつもそうだ。どんなに苦しくても、つらくても、絶対に弱音を吐かない。俺は、いつだってそばにいたのに……」

 フェドクスは完全に、正気を失っているようだ。
 ルドルフとガザンの豹変に耐えきれず、「エミリエを奪われるくらいならば、今すぐ俺のものにする」と言わんばかりに首筋へ顔を埋めた。

「守れなかった。君の瞳も、左腕ですら」
「ちょ……っ。く、くすぐったいよ……!」
「俺はそんなに、頼りないのか」

 耳元で囁かれ、首筋に吸いつかれるたび、身を捩る。
 これは洒落にならないと内心焦っていたところ、有無を言わせぬ視線が向けられる。

 ――それはまるで、捨てられた子犬のようで――。

 ここで「そうだよ」と口にしようものなら、狂犬へ変化しそうな危なさが見え隠れしていた。
< 108 / 195 >

この作品をシェア

pagetop