攻略対象の想い人は、ナレ死予定の転生聖女 欠損を肩代わりしたら、なぜか曇った三英雄が執着してくるのですが?
 心配、嫉妬、執着心――。

 自分でもコントロールできないほどに、さまざまな感情が入り混じっては消えていくせいか。
 フェドクスは苦悶の表情を浮かべ、こちらへ助けを求めるかのように名前を呼んだ。

「エミリエ……」
「私はサキュバスのように、成熟した身体は持ち合わせてない。女としての魅力なんて、1ミリもないよ。だから、大丈夫」
「本気で、言っているのか」

 幼馴染の言葉に頷いたところ、信じられないと言わんばかりにポツリと呟く。

「君はこんなにも美しく、可憐で、麗しい花だと言うのに……?」

 フェドクスは髪の毛を口で咥え、熱っぽい瞳でこちらをまっすぐ見つめてくる。
 その目の奥には、いつもと違う感情が宿っていた。

 これは、愛情……?
 それとも、欲望だろうか……?

 どちらでも構わないが、大人の関係に発展しては困る。
 私はできる限り冷静なふりをして、これ以上は駄目だと待ったをかけた。
< 107 / 195 >

この作品をシェア

pagetop